女子大生ブルマ特訓7 食い込み直し
遠慮無く私のお尻を叩いた最後のひとりは、マネージャーだ。三年生になってからマネージャーとして入部してきたとのこと。キャプテンの樫木さんから、「雑用は一年生が全部やるから、マネージャーになってくれない? 後輩を苛めてもいいから」と言われて入ってきたらしい。
キャプテンの樫木さんとしては、形だけでもマネージャーが在籍していた方が、バスケ部に箔が付く、と考えたのだろう。あるいは、後輩イジメの楽しさを友達に教えたかっただけかもしれないが。
入部してきたマネージャーは、約束通り雑用を一切することなく、下級生をいびり倒す毎日を送っていた。
「さーかーがーみー!」
中腰の私の横にマネージャーが来た。彼女は、にこやかな笑みを浮かべていた。
不覚にも私は彼女を恐ろしく感じた。無邪気な笑顔が、他人の気持ちを全く考えていないことを表している。そう思ったゆえである。笑いながら蟻の巣に水を流し込む子供の笑顔が脳裏に浮かんだ。
マネージャーは私のすぐ隣に陣取っていて、真正面には来ない。
そのため、彼女と会話をしている間、私は、中腰で膝に手を着いたまま、顔を右隣に向けていなければならなかった。つまり首を捻り続けているというわけで、これが地味に辛い。
「おまえさー、今、何した?」
「え?」
何のことか分からず、私は思わず聞き返した。
するとマネージャーは私のお尻を軽く叩いた。痛みを与えるのが目的と言うより、ちょっと小突いてみたという程度の叩き方だった。
それでも私はお礼を言わなければならない。
「ありがとうございます!」
間近に居るマネージャーに顔を向けたまま大声を上げるのは、いかにも不自然で、情けない気持ちになる。
「いや、そんなこと言ってないで、ちゃんと答えて」
「あ、はい」
とはいえ、やはり意味が分からないので、答えようがない。
マネージャーは大袈裟に溜息を吐いてから言った。
「おまえ、ブルマーの食い込みを直したでしょ」
「あ……」
「そんなことしてんの、おまえくらいだよ! みんな、ハミパンなんて気にする余裕もないくらい声を出してんのに、おまえは何やってんの!」
「すみません……」
「これじゃあ、大学のバスケ部を追い出されるのも、無理ないね。中学生にできることができないんだもんね」
「…………」
あまりにも酷い言い草だった。中学生が大学生に言うことでは絶対にないだろう。
「なに睨んでんの?」
「いえ……」
私は目を逸らした。
キャプテンの樫木さんとしては、形だけでもマネージャーが在籍していた方が、バスケ部に箔が付く、と考えたのだろう。あるいは、後輩イジメの楽しさを友達に教えたかっただけかもしれないが。
入部してきたマネージャーは、約束通り雑用を一切することなく、下級生をいびり倒す毎日を送っていた。
「さーかーがーみー!」
中腰の私の横にマネージャーが来た。彼女は、にこやかな笑みを浮かべていた。
不覚にも私は彼女を恐ろしく感じた。無邪気な笑顔が、他人の気持ちを全く考えていないことを表している。そう思ったゆえである。笑いながら蟻の巣に水を流し込む子供の笑顔が脳裏に浮かんだ。
マネージャーは私のすぐ隣に陣取っていて、真正面には来ない。
そのため、彼女と会話をしている間、私は、中腰で膝に手を着いたまま、顔を右隣に向けていなければならなかった。つまり首を捻り続けているというわけで、これが地味に辛い。
「おまえさー、今、何した?」
「え?」
何のことか分からず、私は思わず聞き返した。
するとマネージャーは私のお尻を軽く叩いた。痛みを与えるのが目的と言うより、ちょっと小突いてみたという程度の叩き方だった。
それでも私はお礼を言わなければならない。
「ありがとうございます!」
間近に居るマネージャーに顔を向けたまま大声を上げるのは、いかにも不自然で、情けない気持ちになる。
「いや、そんなこと言ってないで、ちゃんと答えて」
「あ、はい」
とはいえ、やはり意味が分からないので、答えようがない。
マネージャーは大袈裟に溜息を吐いてから言った。
「おまえ、ブルマーの食い込みを直したでしょ」
「あ……」
「そんなことしてんの、おまえくらいだよ! みんな、ハミパンなんて気にする余裕もないくらい声を出してんのに、おまえは何やってんの!」
「すみません……」
「これじゃあ、大学のバスケ部を追い出されるのも、無理ないね。中学生にできることができないんだもんね」
「…………」
あまりにも酷い言い草だった。中学生が大学生に言うことでは絶対にないだろう。
「なに睨んでんの?」
「いえ……」
私は目を逸らした。
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