私は、他の1年生たちと同じように、全裸で直立の姿勢を取りました。
膨らみ始めたばかりの胸や、下の毛が生え始めたばかりの股間を晒すのは、とても恥ずかしいことでした。
けれど逆らうことはできません。横一列に並んだ裸の私たち1年生を、先輩たちがきつく睨んでいるからです。
1年生の手は、下に真っ直ぐ伸ばされています。たまに胸や股間を手で隠そうとする子がいましたが、そんなことが許されるはずはなく、先輩から罵声を浴びせられていました。
1年生は、みんな泣きそうな顔をしていました。っていうか、泣いている子もちらほらと居ます。
かくいう私も目に涙が浮かんでいました。
この女子学園への入学が決まった時は本当に嬉しかったです。
少しレズっ気のある私は、全寮制の女子学園での生活を夢見ていたのです。
先輩後輩の上下関係が厳しいとは聞いていました。でも、そういうのはどこでも少しはあることだし、厳しい方がお姉様と妹の関係になりやすいかな、とか淡い希望を抱いてもいました。
それがまさかここまで厳しいとは……。
私たち1年生は、入寮初日に全裸での整列を命じられ、この女子学園の厳しさを教えられようとしているのです。
厳しさというより理不尽さと言った方が正確であるような気がしますけれど。
瑞穂という3年生の先輩は、私たち1年生の目の前に立ち、手に持っている竹刀で床を叩きました。
食堂の壁に尻を向けて並んでいる私たち1年生は、一斉にびくっと肩を震わせました。
瑞穂先輩は言いました。
「これからお前たち新入生に、3年間の寮生活に耐えうる根性を叩き込む! 有り難く頂戴しろ!」
声自体は間違いなく女のそれなのですけれど、男の人のように力強い発声でした。私のお腹にまで響いくるかのようです。
瑞穂先輩は周りの3年生よりも少し背が高いくらいで、特にがっしりとした体格をしているわけではありません。顔も、男っぽいなんてことはなく、可愛い系ではないものの、結構モテそうな感じです。美人系と言うんでしょうか。
だから、一体どこからあんな恐ろしい声が出てくるのか、不思議で仕方ありませんでした。
「全員、後ろを向け! 壁に手を着いて、ケツを突き出せ!」
瑞穂先輩の声が食堂に響き渡りました。
他の先輩たちは、席に着いたまま私たちを見ていました。無表情で眺めている人もいれば、にやにやしている人もいるし、気の毒そうな視線を向けてくる人もいました。
私たち1年生は、お互いに顔を見合わせて、様子を窺いながらお尻を突き出しました。
ひとりだけ先んじてお尻を突き出すのは恥ずかしいし、そんな踏ん切りは付きません。かといって、ひとりだけ遅れて先輩に怒鳴られるのも嫌なので、暗黙の了解でそれぞれタイミングを合わせようとしたのです。
しかし、やはり恐る恐るなので、お尻の突き出し方がみんな控え目で、結局は瑞穂先輩の怒声を呼ぶことになったのでした。
「もっとケツを突き出せ! 先輩に気合いを入れてもらうんだぞ! 率先して限界までケツを差し出すのが当然だろ!」
滅茶苦茶なことを言っています。ですが従わないわけにはいきません。
ひとりまたひとりと、私たち1年生はお尻をぐっと突き出していきました。
私も、壁に付いていた手を掌2つ分くらい低くして、腰を直角に近くなるまで曲げました。
足はぴったりと閉じたままです。みんなそうしているに違いありません。確認するまでもないことです。全裸なので、少しでも開脚していたら、恥ずかしい箇所が見えてしまいますから。
瑞穂先輩はまた竹刀で床を打ち鳴らしました。
「足を開け! 1年生の分際で恥じらってるんじゃない! 生意気な! お前たちのオマンコなんて誰も興味ないんだ! さっさと股ぐらを晒せ!」
あまりに屈辱的な言葉に、目に溜まっていた涙がとうとう零れてきました。
右隣の子と左隣の子は鼻を啜っています。私もじきそうなるでしょう。
「さっさとしろ! いつまで待たせる気だ!」
瑞穂先輩の声と共に、何かが弾ける音がしました。ついで、女の子の泣き崩れる声。
なかなか足を開かない私たちに業を煮やした瑞穂先輩が、手近にいた1年生のお尻に竹刀を叩き付けたのでした。
「何してる!? 立て! もう一発ぶち込まれたいのか!?」
私は壁に手を着いているので、その光景を見ることはできません。けれども、叩かれた女の子が泣きながら立ち上がり、再びお尻を突き出したことが、なんとなく伝わってきました。
彼女は私の左に5人目くらいの位置にいるようでした。これもまた、正確なことは分かりませんので、だいたいですけれど。
あの子のように叩かれたくはない、という思いで、私は少しだけ足を開きました。肩幅くらいです。
両隣の子も私に習って足を開きます。やはり少しだけです。
明るい場所で思春期の少女が自分から股間を晒しているのですから、これでも頑張っている方でしょう。
しかし瑞穂先輩は許してくれませんでした。
「もっと開け! もっとだ!」
私たち1年生は、瑞穂先輩の許可が下りるまで開脚していきました。最終的には、背筋を床と平行にしたまま、できる限りぎりぎりまで足を広げることになったのでした。
瑞穂先輩は、1年生のお尻を端から順番に叩いていきました。
ひとりにつき3発。3連続です。大抵の子は1発目で膝から崩れ落ちていましたが、体勢が崩れ始める前に2発目を打ち込まれ、さらには、お尻の位置が下がっていく最中に3発目を叩き込まれていました。
どう考えても瑞穂先輩はお尻叩きに慣れています。彼女は3年生ですから、おそらくは去年まで、今の2年生のお尻も赤く染めてきたのでしょう。
私は、自分の番を待っている間、竹刀が肌に叩き付けられる際に生じる凄まじい音を何度も耳にしなければなりませんでした。
1発1発が強烈な音を放っており、それだけでも背筋が凍り付きそうになるのに、3発も連続で受けなければならないのです。
恐ろしさに膝が震えました。恐怖を感じれば膝は本当に震えるものなのだと私はこの時 初めて知りました。これまでの人生がどれだけ生温かったのかも思い知りました。
隣の子の番になり、お尻叩きの音が私の耳を襲いました。まるで、巨大な風船を叩き割ったかのような音でした。
私は、自分が叩かれたみたいに全身を震わせました。
叩かれた子は、悲鳴を上げて床に膝を着き、子鹿のように痙攣していましたが、彼女の心配をしている場合ではありません。瑞穂先輩が私の後ろに立ったのです。
瑞穂先輩は、有無を言わさず私のお尻に竹刀を叩き付けました。
生まれて初めて感じる激しい痛みに私は無意識のうちに悲鳴を漏らしていました。自分の意思に反して声を上げてしまうこともむろん初めてのことです。
とても姿勢を保っていられず、私はその場に崩れ落ちました。他の子と同じように、崩れ落ちる直前には2発目のお尻叩きを受けました。
竹刀はほぼ同じ箇所に当たったようで、1発目よりも痛みが増していました。
床に膝を着く寸前には、3発目の竹刀を容赦なく叩き込まれました。
他の子が叩かれている音を聞いていただけでは分かりませんでしたが、最後のお尻叩きが一番強烈でした。竹刀がお尻にめり込んでいく感触がはっきりと分かりました。きっと瑞穂先輩は3発目には特別に力を入れていたのだと思います。
私へのお尻叩きを終えた瑞穂先輩は、すぐに、隣の子の背後へと移りました。もう私の方を見ようともしません。
私にとって瑞穂先輩は恐ろしい人ですけれど、瑞穂先輩にとっては私なんて、大勢いる1年生のひとりにしか過ぎず、どうでもいい存在でしかないのです。
私は、床に膝を着いたまま、肩で息をしました。お尻を襲う焼け付くような痛みに呼吸が乱れていたのです。
痛みだけで息が苦しくなることがあるという事実は驚くに値することですが、しかし私はそれどころではありませんでした。
あまりの痛みに頭の中がぐちゃぐちゃになりそうです。お尻はきっとひどく腫れ上がっているでしょうけれど、見たり触ったりして確かめる勇気はありません。
気付いたら私はぼろぼろ泣いていました。後から後から涙が溢れてきます。
膝から崩れ落ちてしまったため、壁に着いたままになっている手は、万歳をしているかのように高く上がっていましたが、下ろそうという気力すら湧いてきませんでした。
私は、残りの子が叩かれていく音を聞きながら、お尻が訴えてくる熱い痛みと懸命に闘いました。
ふと横を見ると、叩かれ終わった子たちの半分くらいは私と同じような格好をしていました。
あとの半分は、四つん這いか、床に蹲るような体勢を取っていました。
人によって姿勢は様々ですけれど、みんな、お尻を真っ赤に腫れ上がらせています。
ほとんどの子は泣いていました。でも、大声を上げて泣いている子はいません。強烈なお尻叩きによって気力を消耗しているので、大泣きする元気すらないのです。
私たちは、小さな声を漏らすか、あるいは声を殺すかしながら、静かに涙を流していました。
全員のお尻叩きが終わると、私たち1年生は再び壁際に横一列で整列させられました。
もうみんな羞恥心どころではありません。お尻が痛くて、立っているのがやっとという状態でした。
私は、恐る恐る手を後ろに回し、自分のお尻に触れてみました。しかし、その瞬間に電流を流されたかのような痛みが走り、慌てて手を離しました。
手に残った感触は、今まで感じたことのないものでした。普段の柔らかなお尻とは明らかに違っており、でこぼこしている感じがしました。
横で並んでいる他の子のお尻を見ると、どれも真っ赤になっており、3本の蚯蚓腫れがありました。見るからに痛そうです。きっと私のお尻も同じ状態になっているのでしょう。
1年生のお尻をひとりで赤く染めた瑞穂先輩は、3年生が固まっているテーブルに戻り、得意げな表情で何やらひそひそと話していました。
「疲れたでしょ?」
「いや全然」
雰囲気からして多分そんなような会話をしているのだと思います。
やがてクジ引きが始まりました。
この寮では部屋割りをクジ引きで決めるのです。
どこの部屋かはあまり重要ではありません。問題なのはルームメイトです。すべて2人部屋なので、ルームメイトが誰になるのかによって寮生活は大きく変わります。
1年生のルームメイトは、必ず2年生か3年生になるよう設定されています。先輩には絶対に逆らえませんから、ルームメイトの人柄次第では寮生活が大変なことになるのです。
先輩たちがクジを引き終えてから、私たち1年生も順番に呼ばれ、クジを引いていきました。
自分の名前が呼ばれると、私は食堂の奥に行き、正六面体のクジ引きボックスに手を突っ込みました。
服を着ることはまだ許されていなかったので全裸のままです。
お尻叩きから何分か経って痛みも少しマシになってきたせいで、恥ずかしさが蘇り始めており、私はもじもじしながら小さな紙片を掴み、クジ引きボックスから腕を抜き取りました。
どうせどの紙片を掴むのかで迷っていても仕方がないので、特に逡巡することなく最初に触れた紙片を選んだのでした。
私はクジよりも、いつ服を着させてもらえるのか、そればかりを気にしていました。
1年生全員がクジを引き終える頃には、先輩たちのほとんどが食堂から出て行き、新しい部屋に移動していました。
私たち1年生は、食堂の隅に置いていた荷物バッグから下着とジャージを取り出して、そそくさと着ました。
お尻の痛みは時間と共に引いているとはいえ、直接 触れるとたちまち激痛を生み出します。みんな下着を履く時に顔をしかめていました。どの子も、涙はだいぶ乾いていたのですが、また瞳を潤ませていました。
履いてしまえば、あとはだんだんと慣れていくのですけれど、最初の数秒間は結構きつかったです。
その後、一斉に食堂を出て、各々のクジに書かれている部屋番号を探しました。
私は、自分の部屋の前に立ちました。
優しい先輩がルームメイトだったらいいな、と思います。
瑞穂先輩は恐ろしい人ですが、なにもそんな先輩ばかりではありません。食堂では私たち1年生に同情的だった先輩もいたので、そういう人にルームメイトになって欲しいです。
隣の部屋では、おしとやかそうな先輩が、1年生を出迎えていました。
その先輩は、1年生の頭を撫でながら、いくつか言葉を掛けました。
すると、1年生は感極まったようで、先輩の胸に顔を埋めて泣き出しました。
おそらく、「大変だったわね。私は体罰なんてしなから、もう大丈夫よ」とかそんな感じのことを言われたのでしょう。
先輩は微笑みながら1年生を抱き留めています。
とてもいい光景です。私もあんな先輩と同じ部屋になりたい、と思いました。
そもそも私は、素敵な先輩とああいう風になりたいがために、この女子学園に入学したのです。恐い先輩にお尻を叩かれるためではありません。私にSMの趣味はないのです。
欲を言えば、背が高めで美人で頭が良くて運動もできるクールな先輩がいいのですが。そして、普段は周りに壁を作っている感じで、なのに私にだけは心を開いていて、部屋でふたりっきりになるとすっごく可愛がってくれる先輩。それが理想です。
私は期待を込めてドアをノックしました。
しかし、眼前の扉が開き、そこから顔を出したのは、私たち1年生のお尻に散々竹刀を叩き付けた瑞穂先輩でした……。
部屋に入るなり、私は瑞穂先輩から往復ビンタを受けました。
両頬の痛みに呆然としていると、瑞穂先輩は言いました。
「なに勝手にジャージ着てんの? 1年生は半袖体操服にブルマでしょ。ジャージなんて生意気なのよ」
「…………」
そんなことはあらかじめ言われなきゃ分かるはずがありません。
瑞穂先輩はさらに私の頬を平手打ちしました。
「文句でもあるの? ん? 聞いてあげるから、言ってみ?」
「いえ、すみませんでした……」
反論しても無駄だと思い、私は頭を下げました。
しかし許されることはありません。
「罰として、今日は体操服もブルマも着用禁止ね。朝まで下着姿でいなさい」
「……はい」
「分かったなら、早く脱ぐ!」
「はい」
私はジャージを脱ぎました。体操服とブルマを脱ぐのは少し躊躇したのですが、瑞穂先輩に「早く!」と言われ、慌てて下着だけになりました。
まだ4月なので少し寒いです。
瑞穂先輩は、私たち1年生のお尻を赤く染めたあの竹刀を手に取りました。
「もたもたしていた罰よ。足を開いて床に手を着きなさい」
「え?」
「早くしなさい! それとも、回数を増やされたいの?」
「いえ」
「じゃあさっさとお尻を出しなさい!」
「は、はいっ」
私は瑞穂先輩に背を向けて、足を広げ、上半身を倒しました。膝を少し曲げて、床に手を着きます。
全裸ではなくパンツとブラを着ているとはいえ、お尻を突き出す惨めな格好でした。
けれど恥ずかしがっている暇はありません。すぐに私のお尻に竹刀が叩き付けられたのです。
ただでさえ腫れ上がってひりひりと痛かったお尻に、またしても強烈な衝撃を加えられ、私は飛び上がりそうになりました。
でもそんなことをしたら、瑞穂先輩に何をされるか分かったものではありません。なので、床に着いている手に力を込めて必死に我慢しました。
幸いにも一発で許され、私はお尻をさすりながら身体を起こしました。
すると瑞穂先輩は大きな声を上げました。
「気を付け!」
体育の号令のような言葉を受けて、私は弾かれたように姿勢を正しました。
瑞穂先輩はベッドに腰掛けて私を観察しました。
私は下着姿で直立不動になっているので、恥ずかしくて目を泳がせていました。
1分くらい経ってから瑞穂先輩は言いました。
「ねえ、梓ちゃん」
「は、はい」
梓というのは私の名前です。
瑞穂先輩の声は最初の頃より少し柔らかくなっていました。
「下の毛はどれくらい生えてる?」
唐突な質問に私は戸惑ってしまいました。
「陰毛のことよ。もう濃い方? 薄い方?」
と瑞穂先輩は私に質問を続けます。
「えっと……」
私には答えようのないことでした。他の人と比べたことはないので、どれくらい生えているかと聞かれても、よく分からないのです。
「答えたくないのならいいわ。自分の目で確かめるから。パンツを膝まで下ろしなさい」
「えっ、それは……」
「またお尻を叩かれたいの?」
「あ、そんな、たぶん薄い方だと思います」
陰毛を見られたくないがために適当な答えを返しましたが、瑞穂先輩は納得をしてくれません。
「今さら答えても遅いのよ。あたしが確かめるって言ってるんだから、あんたは黙って股間を見せればいいの。分かった?」
「…………」
さっきも食堂で全裸にされましたが、それは1年生全員でのことでした。けれど今は違います。ふたりきりとはいえ、私だけが素っ裸になるのは勇気がいることです。しかも瑞穂先輩は私の股間を観察するのだと宣言していますし。
「もういいわ。言うことが聞けないのなら、先輩として罰を与えるまでよ」
瑞穂先輩は立ち上がり、私の頬をビンタしました。そして、食堂の時のように、大声を張り上げました。
「床に手を着いて、ケツを突き出せ! 尻ビンタ10発! 自分でかぞえろ!」
「は、はいっ」
部屋中に響き渡るような怒声で命令されては抗うことなんてできません。
私は、さっきと同じように、膝を少し曲げて、床に手を置きました。
さっきはパンツの上から叩かれたのですが、今度はそうじゃなく、瑞穂先輩は私のパンツを無造作に引き下ろしました。
結局のところ、股間を見られることは避けられないのでした。
腕と膝を伸ばした四つん這いの格好は結構疲れるのですが、それ以上に股間を見られていることの方が辛いです。
下の毛が生えてきてからは、股間を誰かに見せたことなんてありませんでしたから……。
陰毛だけでなく、乳首だって、なるべくなら他人の目には晒したくありません。
小学校の高学年になったあたりからは、家族にも友達にも見られないようにしてきました。
家でお風呂に入るために脱衣所で裸になる時は、家族がひょっこり顔を見せないかいつも気になっていたし、学校の水泳の授業で水着に着替える時は、紐を通したタオルを身に着けて、てるてる坊主みたいになりながらこそこそと制服を脱いでいました。タオルに守られていても、更衣室でパンツを脱いでいること自体が恥ずかしくて、できる限り素早く水着に脚を通していたものです。
クラスメイトはだいたいそんな感じでした。思春期の女子は自分の身体が恥ずかしくてしょうがないんです。
だから、瑞穂先輩に向けてお尻を差し出すような格好をしているんだと思うだけで、膝が震えてきました。
瑞穂先輩は、私のお尻を平手で叩いた後、感心するように言いました。
「あんまり生えてないねぇ。薄い方っていうのは本当なんだ。じゃあ、こっちはどうなの?」
瑞穂先輩の両手が私のお尻を掴みます。
「…………っ!」
尻たぶが外側に引っ張られて、お尻の穴を剥き出しにされると、私は全身を硬直させました。まさかまさかそんなところに目を向けられるとは思ってもみなかったのです。
「なかなか綺麗なアナルしてるね」
「…………」
瑞穂先輩は、尻たぶを引っ張っている力を緩めたり強めたりして、私の肛門が形を変える様を楽しんでいるようでした。
お尻の穴は横に伸びたり窄まったりを繰り返していました。
やがて、瑞穂先輩は今までになくお尻を割り開いてから、肛門にふぅっと息を吹き掛けてきました。
「ひゃぁっ」
と、私は素っ頓狂な声を上げてしまいました。
それは瑞穂先輩の思い通りだったようで、背後から小さな笑い声が聞こえてきました。
それから、私はベッドの上で仰向けに寝かされました。パンツは膝の辺りに下げられたままで、上半身はブラだけです。
瑞穂先輩は、塗り薬を用意して、私と同じベッドに腰を下ろしました。
「あ、あの……」
「じっとしていなさい」
塗り薬のまぶされた瑞穂先輩の掌が、私のお尻に乗せられました。瑞穂先輩の体温が移ったのか、塗り薬は生温かかったです。
瑞穂先輩は、私のお尻を揉み込むようにして薬を塗っていきました。
赤く腫れ上がったお尻に触れられても不思議と痛みはありませんでした。ぬるぬるの塗り薬なので摩擦が少なかったのでしょうか。
お尻に薬を塗られていく間、瑞穂先輩は無言でした。そのせいで何を考えているのか分かりません。
親切なことをしてくれているようでも、お尻を叩かれた1年生にルームメイトが薬を塗ってあげるのが寮の決まりで、渋々とそれに従っているだけかもしれません。
手付きからすると、まあ、面倒臭がっている感じではないようです。瑞穂先輩の手付きは丁寧でした。私のお尻に瑞穂先輩の掌がゆっくりと這っていきます。しっかり塗り薬が染み込むよう、念入りに塗り込んでいるようです。
実は瑞穂先輩も悪い人ではないのかもしれません。
生温かい薬を塗り込められていくのはなんだか心地良いです。私を苛んでいた痛みはいつのまにか消えてしまい、ぬるぬるの気持ち良い感触に取って代わられていました。
ベッドに俯せで寝ているからか、ちょっと眠くなってきました。食堂での衝撃的体験で心身共に疲れ切っていたせいなのかもしれません。
けれど、瑞穂先輩の手が私のお尻から股間に滑ってきた時、眠気は吹き飛んでしまいました。
「あの、そこは……」
私は慌てて言いましたが、瑞穂先輩は無言を貫いていて、少し恐い感じがしました。
私は俯せの状態で足を閉じていましたが、瑞穂先輩の手はそれをこじ開けるようにして潜ってきました。
女の子の恥ずかしい部分に触れられて私は目を見開きました。けれど瑞穂先輩はおそらく私のリアクションに気付いておらず、当然 手を引いてくれません。
瑞穂先輩は、様子を探るようにして私のオマンコを撫で回してきました。
彼女の手は薬でぬれぬれになっているので、オマンコにもその粘液が塗り込められていきます。こんなことをしてくるくらいだから、粘膜に塗っても害はないって分かっているのでしょうが、しかしそれでも本当に大丈夫なのか気になります。
私の心情を察したのか、瑞穂先輩は「痛くないでしょう?」と言いました。
「痛くはないですけど、でも、その……」
やめてください、なんて言ったら、瑞穂先輩がまた怒り出すのではないかと思い、なかなか口にはできませんでした。
「いいから、じっとしていなさい」
瑞穂先輩の指が膣口周辺を刺激してきました。
指を中に入れられるのではないか、と私は気が気ではありません。
「気持ち良い?」
と、瑞穂先輩が聞いてきても、まともに答えることはできません。
しかし瑞穂先輩はしつこく聞いてきました。
「ねえ、どうなの。気持ち良いの?」
「…………」
「気持ち良いって言ってみ」
「え……」
「いいから、ほら」
本当はあまり気持ち良くありません。不安と緊張の方が大きくて、官能的な気分になるどころではありませんでした。
でも、瑞穂先輩の望んだ言葉を口にしないことには、いつまでも求められそうなので、私は仕方なく言いました。
「気持ち良い、です……」
「どこが気持ち良いの?」
「ど、どこって言われましても」
「分かってるでしょ?」
「い、いえ」
「オマンコって言ってごらん」
「そんな……」
「嫌なの?」
「恥ずかしいです……」
私は枕に顔を埋めました。
こうしている今も、瑞穂先輩の指はオマンコを這い回っています。
むず痒いようなよく分からない感覚が私の下半身にじんわりと生まれてきました。
「可愛いわねぇ」
瑞穂先輩は、心からといった感じで言うと、私の左隣で俯せになりました。
同じベッドに並んで寝ている状態です。瑞穂先輩の右手は私の股間に差し込まれたままですが。
これって、もしかして?
瑞穂先輩、私とレズ行為をしようとしている?
女子校の親密な先輩後輩の関係に憧れていた私ですが、いざこうなってみると戸惑うばかりでした。
相手が瑞穂先輩というのも、なんだか微妙なような気も……。
瑞穂先輩は背が高くて顔も凛々しい感じで、先輩としては申し分ない外見をしていますが、私たち1年生のお尻を容赦なく叩いていく陰湿で卑劣な人でもあります。人間的にはとても好きになれそうにはありません。
とはいえ。
これからレズな関係になろうとしているのだと自覚した途端、私は胸をどきどきさせてしまうのでした。
瑞穂先輩は、私のクリトリスに触れてきました。
クリトリスに瑞穂先輩の指先が当たった瞬間、私は下半身をびくっと震わせてしまいました。はしたない反応です。
「今の、感じたんでしょう?」
と瑞穂先輩は言いましたが、私は恥ずかしかったので慌てて否定しました。
「そ、そんなことありませんっ!」
枕に顔を埋めたままです。
すると瑞穂先輩は私の耳に息を吹き掛けました。
「あう」
「こっちを向きなさい」
「はい……」
ベッドの上にふたりで並んで俯せになっている状態ですが、瑞穂先輩は私の方に顔を向けていました。
だから、私が瑞穂先輩の方を見たら、間近で顔を突き合わせる格好になりました。
どんな顔をすればいいのか分からなくて、私は瑞穂先輩から目を逸らしました。
「ちゃんとこっちを見ないと駄目でしょう。先輩の言うことが聞けないの?」
「そういうわけでは……」
仕方なく私は瑞穂先輩と視線を合わせました。
「…………」
「…………」
無言です。瑞穂先輩が何も言わないので、私も何も言いません。
その間も、私の股間に差し込まれた手は動いていて、クリトリスを擦り上げていました。
とても上手でした。きっと瑞穂先輩はレズ経験が豊富なのでしょう。
全身の中でも一番敏感な箇所を刺激されてはたまりません。私の顔はみるみるうちに赤くなっていきました。
息も苦しくなってきます。でも、瑞穂先輩の顔が目の前にあるので、荒い息は吐けません。必死になって我慢しました。
そんな私を見て瑞穂先輩は目を細めました。
「喘いでもいいのよ?」
「ん、そんな、喘ぐなんて……私……」
きっと、瑞穂先輩が隣で寝ていなければ、とうに喘いでいたと思います。それくらい私はクリトリスが弱いのです。
「なかなか頑張るじゃないの。けど、いつまで耐えきれるかな?」
瑞穂先輩は、人差し指をクリトリスに垂直に立てました。そして、爪の先で引っ掻くように刺激してきました。
「あっ、ああっ」
我慢しようとする間もなく声が漏れてしまいました。私の息で、瑞穂先輩の前髪が少し揺れました。
別に痛かったわけではありません。食堂の時とは全く違い、瑞穂先輩の指使いは繊細で、私のクリトリスを爪先で優しく擦ってくるのです。
「はあ、はぁ」
一度崩れると、後はもうどうにもなりません。瑞穂先輩の顔が間近にあると分かっていても、荒い呼吸を繰り返してしまいます。
私は熱い息を吐きながら身悶えしました。
股間は濡れ濡れです。
そのおかげで瑞穂先輩の指の滑りも良くなっていました。
瑞穂先輩の人差し指は、たまに私の膣口に沈み込んできました。
第一関節にも達しないくらいに浅くですが、膣内に突っ込まれる感覚に私の官能はますます高まります。
顔を間近で突き合わせたまま瑞穂先輩は言いました。
「お前も、あたしのを触ってみなさい」
「…………」
当然 私は躊躇します。
しかし瑞穂先輩は怒り出したりはしませんでした。
「ほら、こうよ」
と言って、私の手を取り、自分の股間に導いてきました。
驚きました。先輩のオマンコは、ジャージの上から触っても分かるくらいに濡れていたのです。
私は先輩に導かれるままジャージの中に手を入れました。
パンツ越しに指先が愛液にまみれます。
「ああぁ」
瑞穂先輩は喘ぎ声を上げました。本当に気持ち良さそうに表情を蕩けさせています。
艶やかで魅惑的な乱れ方でした。ほんのちょっと前に食堂で私たちのお尻を赤く染めた鬼の先輩と同一人物とは思えないくらいです。
瑞穂先輩のいやらしい喘ぎに引っ張られるようにして、私は、求められる前にパンツの中に手を忍ばせました。
「あっ」
これは予想外だったらしく、瑞穂先輩は私の顔を見ました。けど、もちろん嫌がったりはしません。
パンツの中はぐっしょりしていました。信じられないくらいに濡れています。
女の子ってこんなにも愛液を溢れさてしまうものなんだ、と私は驚きを隠せませんでした。
でも、瑞穂先輩に弄られている私の股間も、同じくらいに濡れているのかもしれません。具体的にどれくらい濡れているかは、自分で触って確かめてみないことには分かりませんが。
「はぁ、ああぁ……」
私が指を動かすと、瑞穂先輩は気持ち良さそうに喘ぎました。
なんか可愛いです。
指の先には、硬くなったクリトリスの感触があります。やはり愛液でぬるぬるです。掌に当たっている陰毛も、たっぷりと濡れています。
陰毛は結構 生えていました。すっかり大人の身体になっているって感じです。
瑞穂先輩は、私と顔の距離を縮めてきました。すでに間近で向き合っているのに、それでもなおです。
何か囁くつもりなのかなと思って、私はじっとしていましたが、瑞穂先輩は止まることなく私に接触しました。具体的には唇と唇がくっ付きました。
「んっ」
と鼻に掛かった声を漏らしながら瑞穂先輩は舌を差し込んできました。
私は思わず唇を固く閉じ、先輩の舌を拒みました。
怒られるかなと思いましたが、瑞穂先輩は、強引に割り入ってこようとはせず、私の唇を舐め回しました。
あっという間に唇とその周りが唾液まみれにされます。
そうして私の意識が唇に集中した時を見計らったのか、瑞穂先輩は前触れなしにまた私のクリトリスに触れました。
「あうう」
私はたまらず口を半開きにして官能に悶えました。
すかさず、瑞穂先輩に唇を塞がれました。
「ん、んんっ」
私はキスをされたまま声を上げましたが、まともな言葉にはなりませんでした。
しかもすぐにそれどころではなくなります。瑞穂先輩の舌が私の口内に侵入してきたのです。
初めて感じる他人の舌は、想像していたよりもずっとぬめぬめしていて、まるで何か別の生き物のようでした。
瑞穂先輩も私の舌を同じように感じているのでしょうか。気になったけれど、質問することはできません。私の口の中は、瑞穂先輩の舌に占領されているのです。
歯茎や歯の裏を舐め回され、さらには舌を絡め取られました。私は舌を奥に引っ込めていたのですが、それには限界があり、瑞穂先輩の舌によって容易に捕らえられてしまいました。
舌と舌が絡み合い、舐められていると、私も官能的な気分に支配されていきました。
女の子同士のディープキスに憧れがあったこともあり、気付いたら私の方からも舌を動かしていました。
舌同士を押し付け合い、お互いの口内を味わい尽くします。そうしながら、私たちは相手のクリトリスを指で擦りました。
「んんん」
と、ふたりともが、言葉にならない声を上げます。
唇の端からは涎が垂れ流れていました。
キスをしながらのクリトリスの弄り合いは、かなりの間 続きました。正確な時間は分かりませんが、30分は軽く越えていたのではないかと思います。
そのうち私たちはキスをしつつお互いの身体を抱き締め合いました。
クリトリスを弄りながらも、自分の太ももを相手の太ももに擦り付けたりしていました。
胸と胸は押し合いをしている状態です。瑞穂先輩の胸は平均より少し大きいくらいなんだと思いますが、私の胸は平均より少し小さいくらいなので、その差は結構なものでした。だから、押し合いみたいな状態だと、私の胸が先輩の胸に呑み込まれるような感じになっていました。
胸と胸が当たっていると、瑞穂先輩の乳首が完全に勃起しているのがよく分かりました。
なにしろ私は全裸ですから、私と瑞穂先輩を隔てているのは、瑞穂先輩の下着とジャージしかないのです。服の上から触っているようなもので、瑞穂先輩の乳首の硬さをはっきりと感じ取ることができました。
30分以上もキスとクリトリス弄りを続けていたのですが、何度かは中断がありました。
唇を離して、息を整えがてら、瑞穂先輩は私の首筋に顔を寄せて、舐めてきたりもしました。
私もそれを真似して、瑞穂先輩の首に舌を這わせました。
まあ、そういうのは時々やるくらいで、またすぐに唇同士を合わせて、濃厚なキスを交わすことになるのですけれど。
中断が一番長かったのは、瑞穂先輩が下のジャージとパンツを脱いだ時でした。
私にクリトリスを弄くり回された瑞穂先輩は、やがてたまらなくなったようで、一旦キスをやめて、ジャージのズボンとパンツをもどかしそうに脱いだのです。
脳内が官能に染まっているせいなのか、なかなか思うように手が動かなかったらしく、パンツを脱ぐのに結構 手間取っている様子でした。
なんとか下半身裸になった瑞穂先輩は、何かに急き立てられているかのように、再び私に抱き付き、唇を奪ってきました。そして、瑞穂先輩の太ももが、絡み付くように私の足を挟んできます。
私はすぐに瑞穂先輩のクリトリスを触ってあげました。すると先輩も私の股間に手を伸ばし、クリトリスを弄ってきます。
私たちはまた時間を忘れてお互いの身体を貪りました。
最初にイッたのは私の方でした。
瑞穂先輩もずいぶんと乱れていたのですが、やはりいくらか経験を積んでいるのか、そんなに簡単にイッたりはしませんでした。
一方の私は、他人にクリトリスに触れられるのは初めてのことなので、あまり長くは保たないのです。
キスが始まってから5分くらいしてから私は絶頂を迎えました。
実のところ、今までにもオナニーで達したことはあります。けれど、瑞穂先輩にクリトリスを弄られながらの絶頂は、これまで経験したどんなオナニーよりも気持ち良かったです。
オマンコの奥に甘ったるい蜜が染み渡っていくような快感が、どんどん高まっていき、ついには弾けてしまう。そんなイメージです。もちろん、弾ける瞬間が絶頂の時であり、一番の官能ポイントです。
絶頂の時、私は無意識のうちに瑞穂先輩に抱き付いていました。それまでも瑞穂先輩とはずっと抱き合っていたようなものなのですが、もっと強く、溺れそうになった際にしがみつくような勢いで抱き付いたのです。
快感が強すぎで、全身に余計な力が入ってしまったようでした。
それによって、私が絶頂に達したことを瑞穂先輩も悟ったみたいです。私の身体が脱力すると、クリトリスを弄る指の動きを弱めてくれました。
けれど、完全に停止したわけではありません。瑞穂先輩は、私にキスをしながら、クリトリスをくすぐるように、指先で軽くでありますが、刺激を与え続けてきました。
敏感になりすぎている箇所を嬲られ続けるのを辛く感じた私は、逃げるように腰をくねらせました。
しかし瑞穂先輩はやめてくれません。
私は、だったら逃げるのではなく攻撃に転じようと思い、瑞穂先輩のクリトリスを弄っている手に力を入れました。クリトリスに愛液を塗り付けていくような弱々しい擦り方を改め、壁にこびり付いた汚れを削ぎ落とそうとしているかのような激しい擦り方にしたのです。擦りまくりです。
すると、瑞穂先輩も私と同じように腰をくねらせました。逃げるような動きです。でも私はクリトリスを擦り続けます。
瑞穂先輩を絶頂に追い込めたのは、私がイッてからしばらく経ってからのことでした。
前兆はありました。瑞穂先輩の腰が、時折ぷるぷると震えたのです。それは数秒のことでしかなく、すぐに何事もなかったかのように私に擦り寄ってくるのですが、異変は明らかでした。
それが絶頂の迫っている証拠なのだと分かったのは、直感としか言い様がありません。ただ分かったのです。愛液の分泌量が変わったわけではありませんでしたし、舌の動きは元から滅茶苦茶だったので変化はありませんでした。しかし私には分かりました。
何度か腰を震えさせた瑞穂先輩は、あっさりと達してしまいました。私のクリトリスを弄っていた指も、私の口内をねぶり回していた舌も、すべてが動きを止め、総身をびくびくさせていました。
そして驚いたことに、瑞穂先輩は潮を吹き出しました。膣内への刺激なんてほとんどしていなかったのに、瑞穂先輩のオマンコは収縮して愛液をしぶかせました。驚くべき潮吹き体質です。
オマンコから噴出する潮は、私の手に掛かりました。
絶頂の直後は、瑞穂先輩も私の時と同様に全身をぐったりさせました。けれど私はクリトリスへの刺激をやめません。だって、私もそうされたのですから。
食堂で竹刀を振るっていた鬼の先輩といえど、ここで引くわけにはいきません。いえ、鬼の先輩だからこそ、このチャンスを逃すわけにはいかないのです。
私は、逃げ腰になっている瑞穂先輩の股間から手が離れないよう注意しながら、親指と人差し指でクリトリスを挟みました。
瑞穂先輩は私から唇を離し、泣きそうな顔をしました。
「や、やめて、今は……」
「どうしてですか、瑞穂先輩。私にもしてくれたじゃないですか。大丈夫です、すぐに慣れますから」
「ま、待って」
待ちません。瑞穂先輩のクリトリスを2本の指でこねこねしてあげます。
「は、はうっ」
と、瑞穂先輩は苦悶の声を上げました。
思っていた以上に効果的でした。絶頂直後のクリトリスを弄られた経験がないかのようです。今まで瑞穂先輩と乳繰り合ってきた女の子たちは、これくらい強引にしたことがないのでしょうか。先輩って、ひょっとしたら下級生しか抱いたことがないのかもしれません。
まあ、私も下級生なのですけれど、官能に染まった今の私は無敵モードです。遠慮なんて言葉は頭から抜けています。素が出ているだけかもしれませんが。私は結構 図々しいのです。
私は、泣きそうになっている瑞穂先輩の懇願を無視して、絶頂直後で敏感になっているクリトリスをさらに弄くり回してあげました。
瑞穂先輩も負けじと私のクリトリスを擦ってきました。
刺激に慣れてしまった瑞穂先輩は、お返しとばかりに私を責め立てました。
私も負けていられません。懸命に先輩の舌を吸いながら、クリトリスを虐めてあげます。
こうなるともうイかせ合いです。どちらが相手をより多く絶頂まで追い込めるか、という勝負をしているみたいな感じになってしまいました。
結果は互角です。瑞穂先輩をイかせたら、次に私がイッてしまい、私がイッたら、次に瑞穂先輩をイかせる。順番に絶頂に達したのです。
私たちは明け方近くまでそうやってキスをしながらクリトリスを弄り合っていました。
飽きることはありませんでした。自分が気持ち良いだけでなく、相手も気持ち良くする。2つの楽しみを同時に味わっているのだから、飽きるはずはありません。
しかしどんなことにも終わりはやってきます。
私たちは、自分が何回イッたのかも分からなくなるくらいに絶頂し、そして、いつ終わったのか分からないうちに寝入ってしまいました。どこかで区切りを付けた覚えは全くないのですが、あれ?、と思った瞬間には朝でした。窓の向こうで鳥がちゅんちゅんと鳴いていました。
瑞穂先輩はまだ寝ていたので、私はひとりで起き上がりました。
股間がぬるぬるします。塗り薬のせいか、自然乾燥はしてくれなかったようでした。
個室に備え付けられているシャワーで汗を流し、頭を洗い、身体を洗いました。特に股間は、ボディーソープで一度洗ってから、今度は石鹸で洗いました。お尻の腫れを抑えるための塗り薬をオマンコに塗り付けられるのはちょっとどうかと思ったので、念のためにしっかりと洗ったのです。
瑞穂先輩に何度も叩かれたお尻は、昨晩よりも少し赤く腫れていました。
薬は効いていないのかな、と私は思いました。あれは単なる口実で、本当は薬でもなんでもなくて、ただのローションだったのかもしれません。あるいは塗り薬が効果を発揮していて、もし何も塗っていなかったらこれよりも酷く腫れていたのかもしれませんが。
まあ、どっちにしろ、薬を塗ってから今に至るまで、ほとんど痛みを感じずに済んでいるのは事実です。仮にローションだったのだとしても、薬を塗られていると思い込んだおかげである程度の作用があった可能性はあります。先輩にお礼を言うのもやぶさかではありません。
私はシャワー室を出て、脱衣所で体操服を着てから、部屋に戻ります。
瑞穂先輩はすでに起きており、私のベッドから自分のベッドに移動していました。
私を見て瑞穂先輩は立ち上がりました。なんだか表情がきつい感じです。
「お前、なに先輩より先に朝シャンしてんだよ!?」
いきなり怒鳴り声を叩き付けられ、私は全身を硬直させました。
そんな私に瑞穂先輩は号令を掛けます。
「気を付け!」
考えるよりも先に私の身体が動きました。背筋を伸ばし、手を横に揃えます。
「指導!」
瑞穂先輩はそう言って、私の頬をビンタしました。
私に散々イかされたことをなかったことにしているかのように、瑞穂先輩は鬼の先輩に戻っていました。
「す、すみませんでした」
私は震えながら頭を下げました。
私が入寮して次の日に、また新しい1年生が入寮してきました。ひとりだけです。昨日 入った1年生で全員だと思っていたので意外でした。
その子は高坂早希という名前で、背中の真ん中くらいまで伸ばしている黒髪が綺麗な女の子です。
早希ちゃんが寮の中に足を踏み入れた時、私はちょうど玄関の掃除をしていたので、彼女を案内することになりました。案内というか、早希ちゃんを連れて食堂に行き、そのへんにいる先輩に報告するだけなんですが。
早希ちゃんは物静かでした。あまり笑ったりしません。
普通、初対面の人に対しては、少しくらいの愛想笑いはするものだと思いますが、早希ちゃんはそういうことをしない子のようです。
かといって、物怖じしている様子もありません。
ただ単に必要以上の会話が面倒臭い、という感じです。本人がそう言ったわけではないのですけれど、態度からするとそんなところだろうと思います。
こんな調子では先輩たちに大変な目に遭わされるかもしれない、と私は他人事ながらハラハラしていましたが、それは無用な心配のようでした。
先輩に引き合わされた早希ちゃんは、私に対する時と同じように、冷淡な対応をしていましたが、なぜか先輩たちは文句を言わず、どころか、まるでお気に入りの後輩を出迎えているかのような態度を取りました。
早希ちゃんは無愛想なのに、先輩たちはにこやかだったのです。
近くにいた私たち1年生は呆然となりました。
早希ちゃんは、先輩からビンタの洗礼を受けることなく、お尻叩きの洗礼も受けることなく、その後も、当たり前のように特別待遇を享受しました。
私たち1年生は、複雑な気持ちを抱きながら早希ちゃんを見ていました。
どうやら早希ちゃんは、こうなることがあらかじめ分かっていたようです。だからこその無愛想な態度だったのでしょう。
この女子寮には各部屋にバスルームが付いているのですが、それとは別に、大浴場があります。
使用するのは主に3年生の先輩方です。寮生の全員が使うと混雑してしまうので、下級生は基本的に大浴場の使用は遠慮しなければなりません。
1年生は大浴場に足を踏み入れる機会が1日に1回あります。湯船に浸かれるわけではありません。掃除と備品の整理のためです。
少しでも手抜かりがあると、3年生からお尻を叩かれたりしてしまうので、みんな結構 必死になって大浴場のメンテナンスをします。
しかし早希ちゃんはそれに参加しません。
そのことについて、1年生が何人か早希ちゃんに文句を言ったようでしたが、適当に流されてしまったらしいです。
文句を言った1年生の子たちは怒っていましたが、後日になって、早希に余計なことを言うな、と先輩たちから言われたようで、シュンとなっていました。
早希ちゃんが特別扱いをされているのはとっくに明白でしたが、先輩たちがこうまではっきりと言葉にしたのはこれが初めてのことではないかと思います。
大浴場の使用可能時間は、午後8時から午後10時までです。
その間、もしもシャンプーやボディソープが切れていたり、どこか清掃に甘いところがあった時に、すぐさま対応できるよう、常に3人の1年生が脱衣所で待機していなければなりません。
私たち1年生は、自分たちで相談をしてローテーションを組んでいました。当然ながらローテーションの中に早希ちゃんはいません。
脱衣所で待機している時はほとんど何もすることがありません。先輩に肩を揉まされたり、背中を流すよう言われたりすることはありますが、たまにです。そんなことをいちいち言う人はそういません。
けれど、楽かと言うとそうでもありません。
先輩たちが服を脱いで全裸になっているのに、下級生が服を着ているわけにはいかず、3人の1年生は、全裸で待機をしなければなりません。脱衣所の隅で3人並んで素っ裸のまま直立をし続けるのです。
みんな裸だし、先輩は1年生のことをあまり見ないので、そんなに恥ずかしいということもないのですが、それでもやはり、慣れるまではそわそわしてしまいます。
脱衣の時もお風呂に入る時も、先輩たちは楽しそうにお喋りをしています。対する1年生3人は私語厳禁。無言です。
同じ裸であっても、身分の違いは歴然としていました。
まあそんなことは今更の話です。しかし、脱衣所に入ってきた先輩集団の中に早希ちゃんの姿を見付けた時は、複雑な心境にならざるを得ませんでした。
その時 私も大浴場のローテーションに入っていました。
早希ちゃんが入ってきて目が合いそうになったので、私は慌てて顔を俯けました。情けないです。
私は全裸で直立不動になっていましたが、早希ちゃんはジャージ姿でした。学校指定のものではありません。私服のジャージです。おそらくはブランド物でしょう。なんだか生地が高級そうでしたので。格差を感じます。
早希ちゃんは、私たち1年生のことなんて気付いていないかのように、先輩たちと談笑しながら服を脱ぎ、大浴場に入っていきました。
実際には私たちに気付いていないはずがありません。私たち3人は脱衣所の奥の方で立っていますが、死角というわけではないので、早希ちゃんに見えなかったはずはないのです。
早希ちゃんは、全裸で立っていた私たちのことなんてどうでもいいと思ったようです。でなければ、何かしらの反応を示していたはずです。なんであそこに立ったままなんですか、と目の前の先輩にでも聞いていたはずなんです。
けれど早希ちゃんはそれをしませんでした。私たちが何をどうしていようと、彼女は何の関心もないのです。
先輩たちならば珍しくもない態度ではありますが、同級生の早希ちゃんにそんな態度を取られると、悲しいやら悔しいやら、色々な感情が湧き出てきます。
私は自分の気が高ぶっていることを自覚すると、それ以上は何も考えないことにしました。
もしも不快な感情が表に出てしまい、その顔を先輩に見られたりしたら、余計な折檻を受けてしまいます。だから早希ちゃんのことは頭から振り払うことにしたのです。
とはいえ、そう簡単に割り切れることでもないのですけれど。
実際、私の隣に立っている子は、ぷるぷると握り拳を震わせていました。
幸いにも、早希ちゃんを含んだ集団が大浴場に消えていったことで、今この脱衣所には私たち3人しかいない状態でしたので、隣の子が先輩たちに見とがめられることはありませんでした。
5分くらいしてから、大浴場の方から私たちを呼ぶ声が聞こえてきました。先輩の声です。なんだか少し怒っているようでした。
清掃か何かに不備があったに違いありません。
私たち3人は、顔を見合わせた後、急ぎ足で大浴場に行きました。
「どういうことよ、これは!?」
洗い場のバスチェアに座っている先輩が、大声で私たち1年生を怒鳴り付けました。
「ど、どういうこと、とは……?」
訳が分からず私は聞き返します。
そのことによって先輩はますます機嫌を損ねたようでしたが、聞かないことには原因が分からないので、どうしようもありません。
「これよ、これ!」
先輩はリンスのボトルを手に取って、私の足下に投げ付けました。
私はそれを拾い上げ、軽く振ってみました。とぷとぷ、と中身が揺れます。軽くて、薬液の残りは少ないですが、空ではないようです。
「あ、あの、ちゃんと補充されているみたいですけど」
恐る恐る私は言います。
すると先輩は大きく溜息を吐きました。何でこんなことも分からないの、とでも言いたげです。
「あんたらさあ、残りがあれば何でもいいとか思ってんじゃないの? もうだいぶ減ってるでしょ? こんなんじゃ、ポンプを押してもすぐには出てこないこともあるでしょうが!」
「…………」
つまり、リンスのポンプを空押しさせられたのが許せない、ということのようでした。
そんなの知らねえよ、と言いたいところですが、私たち1年生3人は頭を下げました。
「至らぬところがあり申し訳ありませんでした」
声を揃えて謝罪します。
もちろんこの時も3人とも全裸です。先輩も素っ裸ではありますが、タイルの上に立たされているのは1年生3人だけなので、やはり恥ずかしさは捨てきれません。
「せんぱい、せんぱい」
緊迫した場の空気に似つかわしくない平坦な声が、大浴場に響きました。早希ちゃんの声です。
「こんな人たち、放っておきましょう。お湯に温まっていれば、すぐにどうでもよくなりますよ」
早希ちゃんにそう言われると、ついさっきまで怒り心頭だった先輩は、急に肩をすくめて表情を和らげました。
「まあ、早希がいいなら、いいんだけど」
まるでこの場の支配者が早希ちゃんであるかのような雰囲気です。私と同じ1年生なのに。
「ん? なに睨んでるの?」
早希ちゃんは私に視線を向けているようでした。自然と目が合います。私は慌てて顔を逸らしました。
「あなたに言っているのだけれど」
早希ちゃんは、困惑したように言いました。
返事をしない私が悪者であるかのようです。
「おい、早希が聞いてるだろ! ちゃんと答えろ!」
先輩の怒号が飛びます。
私は「はい!」と先輩に返事をしてから、早希ちゃんに目を向けて、「別に睨んでいたわけじゃないけど……」と答えました。
「なんだその言い方は!?」
怒鳴ったのは先輩です。
「3人とも尻を突き出せ! 指導だ!」
「まあ、いいじゃないですか」
早希ちゃんが先輩をなだめます。
「お尻叩きなんて可哀想ですよ、せんぱい」
「でも、早希」
「じゃあ、こうしたらどうですか。事の発端は私が使おうとしたリンスです。お仕置きをするのならリンスを使いましょう」
「どういうこと?」
「リンスのポンプの先端をお尻の穴に入れて、ポンプを押す。つまり、浣腸でお仕置きをするんです」
「なるほどね。まあ、どっちにしろ尻を突き出す必要があることには変わらないか」
先輩は頷いて、私たち3人に向き直って言いました。
「ほら、聞いてたんだから、分かるだろ? さっさと尻を突き出せ!」
「…………」
私たちは四つん這いになりました。
普段はあまり表情を変えない早希ちゃんですが、私が彼女をちらっと見た時は、唇をわずかに歪めていました。
「私がやりますー」
と早希ちゃんは言いました。
彼女がリンスのボトルを手に取るのを、私たち1年生3人は、全裸で四つん這いになったまま見上げているしかありませんでした。
よりにもよって同級生にお浣腸をされるだなんて、冗談じゃありません。しかしそんなことを言えば先輩が怒り出すに違いないので、立ち上がって早希ちゃんの手からリンスを払い落とすことはできません。
「もっと足を広げて」
お尻の穴を見られていることを意識して私たちは足を閉じていましたが、早希ちゃんに言われて仕方なく開脚しました。そうすると、肛門が少しだけ開くのを感じました。もちろん陰部もです。
周りから笑い声が聞こえてきます。同級生にお浣腸をされる私たち3人のことを笑っているのです。
恥ずかしくて顔が火照ってしょうがありませんでした。入寮初日もこんな感じで四つん這いになってお尻と股間を晒されましたが、あの時はまだたくさんの1年生と一緒でした。大勢の中のひとりと、3人のうちのひとりでは、まるで話が違います。しかも今回は、お尻を叩かれるのではなく、お浣腸をされてしまうのです。恥辱は段違いです。
早希ちゃんは、私たちのすぐ後ろに膝を着くと、リンスのポンプを肛門に突き刺してきました。最初に犠牲になったのは、私の右隣の子です。私は3人の真ん中で四つん這いになっていますから、次は私ということになります。
お浣腸をされている間、右隣の子は終始無言でした。そのため、ポンプの押される音が、私の耳に届きました。ポンプは何度も何度も押されているようでした。私はその音を聞きながら自分の番を待っていました。
しかし考えてみれば、どのくらいの量が注入されるのか、私たちは知らされていません。もしかして早希ちゃんの気紛れによって決まってしまうのでしょうか。だとしたら、さっき早希ちゃんに因縁を付けられた私は、他の人よりも多くの量を入れられてしまうかもしれません。恐ろしいことです。
私が懸念している間も、ポンプの押される音は、数え切れないくらいしていました。いつまで続くのか不安でしたが、だんだんとペースが落ちていき、やがて聞こえなくなりました。
そして、そのすぐ後、私はお尻の穴に痛みを感じました。それほど大きな痛みではないけれど、これまで感じたことのない種類のものです。硬いものが入ってくるこの感覚は……。
予告もなくポンプの先端が突き込まれたことに気付いたのは、何秒も経ってからのことでした。右隣の子は最初から最後まで無言を貫いていましたが、私は不意打ちに驚いたせいか、薬液を注入され始めた瞬間に「あう」と声を上げてしまいました。
リンスがお腹の中に注ぎ込まれる感覚が、はっきりと分かりました。ついで、お腹の中にじんわりと染み渡っていく感覚がします。
右隣の子の時と同様、早希ちゃんは、何度もポンプを押してきました。そのたびに薬液が流れてきて、どんどん腸内に溜まっていきます。
何度注入されたか分からないくらい浣腸されてから、ポンプの先端がお尻の穴から抜かれました。結局、ポンプが押された回数は、右隣の子とあまり変わらなかったようです。幸いにも、私にだけ執拗に責めるつもりは早希ちゃんにはなかったようでした。
早希ちゃんは、すぐに左隣の子の後ろに移り、また浣腸を始めました。その間も、私と右隣の子は、四つん這いのまま、すべてが終わるのを待ちます。
大量のリンスをお腹の中に入れられても、しばらくは何ともありませんでした。もちろん違和感はありましたが、それだけです。便意も腹痛も最初は感じませんでした。
けれど、左隣の子の浣腸が終わりそうな頃になると、違和感が次第に大きくなり始め、早希ちゃんが左隣の子からポンプを抜いた時には、明確な腹痛が生じていました。
私は右隣の子の様子を窺いました。その子は、顔面にびっしりと汗を掻いていて、いかにも苦しそうな表情をしていていました。
それを見て、私は、間もなく自分もこうなるに違いない、と思いました。今はまだそこまで辛いわけではなかったのですが、しかしそんなのは、浣腸の時間に差があったからというだけのことに過ぎないことは、分かりきったことです。
早希ちゃんは、私たち3人への浣腸を終えると、満足そうな顔をしながら立ち上がり、「せんぱい、終わりましたよー」と朗らかに言いました。
先輩たちは湯から上がり、「はい、ご苦労さん」と言って、後のことはどうでもいいと言わんばかりに、早希ちゃんを連れて大浴場から出て行きました。
排泄姿まで見物する気はないようです。さすがにそこまでの変態レズはいないということでしょうか。
私たち3人は、四つん這いになったまま、先輩たちが着替えを終えて脱衣所から出て行くのを、ガラス戸越しに見ていました。
最後の先輩がいなくなるのを確認してから、ようやくトイレに向かいます。
私と左隣の子はなんとか立ち上がりましたが、最初に浣腸をされた右隣の子は、時間が経ちすぎてしまったせいか、四つん這いのまま動けないようでした。お腹の中のものをぶち撒けないでいるのが精一杯といった感じです。
下を向いて大浴場のタイルをじっと見つめたままでいるその子に、私は何か声を掛けようと思いましたが、相応しい言葉が見付かりませんでした。頑張れ、なんて言っても、どうにかなるような問題ではありません。私自身も強烈な腹痛に襲われており、それほど余裕はありませんでしたし。
だから、私と左隣の子は、彼女に何も言うことなく大浴場を出ました。扉を閉めるのは彼女を大浴場に置き去りにした印象が強くなるので、開けたままにしようかとも思いましたが、しかし、いつ漏らしてもおかしくない彼女からすれば、扉を閉めて音と臭いを少しでも遮断してもらった方が有り難いだろう、と思い直し、結局は閉めることにしました。
けれど、私の迷いが災いして、扉を閉める直前に、爆発物でも炸裂させたかのような音が聞こえてきてしまいました。彼女の方を見ないようにしながら扉を閉めたので、目で確認したわけではありませんが、音からして盛大なお漏らしが始まったことは明らかでした。
扉を閉め切っても、その音を完全に遮断することはできないようで、私ともうひとりの子は、扉越しの爆音を聞きながら、下着とブルマと体操服を着ました。
ふたりとも動きがぎこちなかったのですが、どちらかというと、やはり浣腸が早かった私の方が限界に近いようで、着衣にも手間取ってしまいました。
私は必死にお尻の穴を窄めて我慢しました。大浴場で漏らしても、お湯で洗い流せば後始末は楽ですが、ここ脱衣所ではそれは叶いません。漏らせば大惨事です。それに、脱衣所を出てすぐ隣には共用のトイレがあるので、服を着さえすればあと少しなのです。こんなところで漏らすわけにはいきません。
着衣を終えた私は、ふらふらの足取りながらもなんとか脱衣所を出ました。もうひとりの子は、「大丈夫?」とか「もう少しだよ」とか、私を気遣いながら、トイレの扉を開けてくれました。彼女だって充分に辛いはずなのに、まったく、感謝する他ありません。
このトイレには、便器のある個室がふたつだけあります。
手前の個室は塞がっていました。扉の取っ手を引こうとしたら開かず、そのすぐ後に、内側からノックされたのです。「入ってますよ」という合図です。
普段はほとんど誰も使うことのないトイレなのに、おかしなこともあるものです。あるいは、私たちに対する嫌がらせのために、先輩が中に居るのかもしれません。ああ、でも、それだったら忍び笑いでも聞こえてきそうなところですが、それがありませんから、先輩に命令された下級生が居るということも考えられます。いずれにしろ、何を言ったところで退いてくれることはないでしょう。中にいるのが先輩だったとしたらもちろん無理ですし、私たちと同じ1年生であったとしても、ここで退いたりしたら先輩から酷い目に遭わされるのは確実なので、やはり退いてはくれないでしょう。
私ともうひとりの子は、互いに目を合わせました。空いている個室は、ひとつだけ。他のトイレに行く余裕はもうありません。であるならば、どうするか。どちらかが犠牲になるしかない状況です。
私はこの時、おそらくは先を譲って貰えるだろう、と安易に考えていました。私の目の前で脂汗を浮かべているこの子は、ついさっきまで私のことを気遣っていてくれていたし、そもそも先に浣腸をされたのは私の方です。なら、私が先に個室に入り、用を済ませてから彼女の番ということになるのは、順当なことでしょう。そうすれば、時間差があるだけで、我慢の時間そのものはあまり変わらなくなるはずです。
そう思って私は彼女の言葉を待っていました。この受け身の姿勢がよくなかったのかもしれません。
彼女は私から目を逸らすと同時に、すっと奥の個室を開き、さっさと入ってしまったのです。
あまりにも自然な動作だったので、先に個室を使おうとしての動きであることに気付くのが、一瞬遅れてしまいました。この場面での一瞬は命取りです。彼女が扉を閉めようとするのと同時に私は思わず手を伸ばして止めようとしましたが、間一髪それは間に合いませんでした。
やられた、と思った次の瞬間には、鍵の掛かる音がしました。
もはやどうにもなりません。
今にも漏らしてしまいそうだというのに、これから別のトイレに行くなんて、到底不可能です。
私は絶望に暮れました。
脱衣所や廊下で漏らすよりは、トイレの床にぶち撒けた方が、いくらかはマシな状況なのかもしれませんが、だからといって納得することはできそうもありませんでした。なにしろ、ほんの数秒前までは、個室で便器に跨って通常の排泄を行えると思っていたのです。今さらお漏らしをするなんて、とても耐え難いことでした。こんなことなら、最初から希望なんて一切なかった方が良かった、とすら思います。
しかし……。
窮地を脱する案が頭の中に浮かびました。普段なら許容できないものの、床に漏らすよりは遙かに良い、そんな排泄方法です。
多少の抵抗感はありましたが、迷っている暇はありません。今この時も私は腹痛と闘っているのです。
私は必死に肛門を締めながら、第三の個室を開けました。
その個室に便器はありません。便器がある個室はふたつだけですから。ここは掃除用具などを置いておくための個室なのです。
中から私はプラスティック製のバケツを取り出しました。バケツへの排泄なんて、女子高生として有り得ないレベルの屈辱ですが、背に腹は代えられません。
最初は、個室の中にバケツを設置しようとしましたが、モップやらブラシやらがたくさんあって、スペースがなかったので、仕方なく個室の外に置きました。
当然、誰かがトイレに入ってきたら丸見えですが、もう個室の掃除道具を外に出している時間は残されていません。お尻の穴は決壊寸前です。
バケツを置いたのとほぼ同時に、さっき私が閉め出された個室から、爆音が響いてきました。大浴場の時よりもずっと大きな音です。
大浴場で漏らした子は、最後の最後まで我慢を重ねて、決壊を迎えた後も、おそらくは肛門を窄めようとしていたのでしょう。だから本来よりも小さな音を鳴らしていたということだと思います。
一方で、遮断性のない壁一枚向こうで排泄をしている最中の子は、ここがトイレである以上、そのような抵抗を続ける意味はありません。どころか、自ら排泄しているのです。大浴場の子よりも大きな音を響かせてしまうのも当然のことかもしれません。
私は、爆音を耳にしながら、ブルマとパンツを一気に下ろし、バケツに跨りました。零してはいけないので、お尻の位置は、バケツに当たりそうなくらいに低くします。
それでも、これで本当に零れたりしないのか、いまいち自信が持てませんでしたが、バケツに屈んで気が抜けたのか、私の意志に反してお尻の穴から力が抜けてしまいました。
まるで待ち構えていたかのように、すぐさま排泄が始まります。
恥ずかしい音が鳴り響きました。肛門から液体が飛び出てくる際の音だけでなく、バケツの底を液体がしたたかに叩く音もしました。
排泄が始まった直後には、バケツから跳ね返った飛沫がお尻に掛かるのを感じました。それもかなりの量です。おそらくはバケツから跳ねて床に飛び散っている量も少なくはないように思えましたが、見て確認するのは後にします。強烈な腹痛でそれどころではないというのもありますが、単純に惨状から目を背けていたくもありました。
排泄音は、そのうち、湯船にシャワー水を当てている時のように、水が水に入っていく音に変わってきました。お尻の穴から噴き出した液体は、あっという間にバケツに溜まってしまったようです。
私は、お腹に力を入れて、更なる排泄を自分の身体に促しました。トイレ内にいるふたりに排泄音を聞かれるのは恥ずかしくてたまらないのですが、それ以上に、ここまで来たからには腹痛から少しでも早く解放されたい、という思いが強かったのです。
排泄は、途中で一度だけ軟便を捻り出した以外は、ほぼ液体だけでしたが、なかなか終わりません。噴出が止まり、肛門が自然と収縮しても、しばらくするとまた開き、液体が飛び出してきます。
ここに来るまで我慢しすぎていたのが良くなかったのかもしれません。腸内を空っぽにしそうな勢いで噴射が続きます。
個室の中からも、排泄音が途切れ途切れに延々と聞こえてきました。時折、呻き声まで聞こえてきます。
それで、はっとなって我が身を振り返ってみると、自分も無意識のうちに呻いていたことに私は気付きました。
浣腸され無様にもバケツへの排泄を余儀なくされてしまった私は、それ以降、早希ちゃんへの苦手意識ができてしまいました。廊下ですれ違う時は自分から道を空けてしまいますし、食堂で目が合った時は慌てて逸らしてしまいます。意識してそのようなことをしているわけでなく、身体が勝手に動いてしまうのです。
私のそういう態度が癇に障るのか、早希ちゃんは事あるごとに私を苛めてくるようになりました。
たとえば、ある夜の話です。
部屋で勉強をしていたところ、突然、3年生の先輩がやってきて、私を連れ出しました。
向かった先は、ラウンジです。寮生の憩いの場として用意されたその場所は、当然の流れで3年生しか使っていませんでしたが、この時は3年生以外も何人か居ました。2年生が4人と1年生が1人です。
そこは異様な状況でした。ただ1人居た1年生は早希ちゃんで、彼女は周りの3年生と談笑していました。問題なのは2年生4人です。彼女たちは、壁際で横一列に並び、ジャージのズボンとパンツを膝まで下ろし、股間を丸出しにして直立していました。
3年生たちの会話を聞いて、私は、事の成り行きをおおよそ理解しました。チューハイを持ち込んでほろ酔い加減になった3年生たちは、ハイテンション状態となり、2年生を呼び出して、誰の陰毛が一番濃いかで賭けをしていたのです。本当なら、この恥辱を味わうのは2年生4人だけで終わるはずでした。そういう流れだったのです。しかし、早希ちゃんがもう一回だけ賭けをしたいと言い出し、私が呼び出されたというわけです。
私は心の中でうんざりしましたが、その気持ちを表に出すことはなく、指示された通りに2年生4人の隣に並びました。3年生は私服を着ており、2年生はジャージを着ているので、ただ1人だけ体操服にブルマである私には、なんとも言えない疎外感がありました。もう1人この場にいる1年生である早希ちゃんは、当たり前のような顔をして私服姿ですし。まあ、2年生はジャージとパンツを下ろしていますし、私もすぐに同じ格好になるわけですから、あまり気にすることでもないかもしれませんが。
私は、ラウンジ中の注目が集まっている中で、ブルマに手を掛けました。早希ちゃんの「ごめんねー」という、謝罪の気持ちが全く入っていない言葉を受けながら、下着と一緒にブルマを膝まで下ろし、前に向き直って背筋を伸ばします。手は身体の横にぴったりと付けます。
陰毛に視線が集中して、私はむず痒さを覚えましたが、耐えるしかありませんでした。顔が熱くなるのを感じながらも、真っ直ぐに立ち続けます。
3年生たちは、「薄いじゃん」とか「負けた-」とか好き勝手なことを言い合いながら、手元のチョコレートを渡したり受け取ったりしていました。どうやらチョコレートが賭けの対象だったようです。勝っても負けても笑って済ませられる程度の賭けです。
そんなことのためにいちいち呼び出され、股間を露出させられたわけですが、しかしこれで終わりではありませんでした。誰も「もう戻ってもいいよ」と言ってくれないので、下された命令は効力を保ち続けることになり、私は、ブルマと下着を半脱ぎ状態にしたまま突っ立っていなければなりません。
おそらくは隣に並んでいる2年生4人も、同じように放置されているのでしょう。ジャージとパンツを膝まで下ろして陰毛を剥き出しにしたまま、じっと前を見つめています。
3年生たちは、私たち5人の存在を忘れてしまったかのように、雑談で盛り上がっていました。
結局、私たち5人は、3年生たちが解散して自分の部屋に戻っていくまでの1時間くらい、ずっと陰毛を晒して立っていました。途中で、3年生の1人が、「そろそろこの子たちは帰してあげる?」と言い出したのですが、早希ちゃんが「賭けの証拠が無くなったら、無効になっちゃいますよー?」と言ったので、最後まで戻ることはできませんでした。
3年生からしたら、私たちが立っていようがいまいが、どちらでもよかったのでしょうが、それを差し引いても、3年生の言葉を否定してしまう早希ちゃんの発言力には驚かされます。
そもそも、早希ちゃんの気紛れで私まで巻き込まれたというのに、私を呼び出しに来たのが3年生だったいうのが、すでにおかしな話です。これでは、その3年生は早希ちゃんのパシリをさせられたようなものでしょう。
3年生と早希ちゃんがラウンジから居なくなると、私たち5人は、無言で下着を履きました。
私はブルマとパンツを同時に引っ張ったのですが、2年生4人は、まずパンツを履いて、その次にジャージを引き上げていました。
まともな格好に戻った2年生4人は、口々に不平を述べ始めました。彼女らの怒りは、3年生よりも早希ちゃんに向けられているようでした。それはそうでしょう。先輩に理不尽なことをされるのは、この寮なら普通のことですが、早希ちゃんは1年生なのです。最下層の奴隷階級です。なのに、3年生からちやほやされ、まるで自分が最上級生であるかのように振る舞っています。2年生の怒りを買うのは当然のことです。
しかし、2年生がいくら怒り狂おうとも、3年生に守られている早希ちゃんに制裁を加えることはできません。彼女らの陰口も、結局はそこに行き着いて、尻すぼみになっていきました。
私はこの時、ならば3年生が卒業して居なくなり現2年生が最上級生になったらどうなるのだろう、と思いましたが、口にはしませんでした。まだまだ先のことなので、考えても仕方のないことです。